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【投資事業有限責任組合法】 |
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投資事業責任組合法が改正され昨年12月1日から施行されました。今般改正により、続にファンド法と呼ばれるに至りました。
改正のポイント
組合員の資格制限や人数の撤廃がされるに至りました。いわゆるファンドマネージャーへの制限がなくなり、一定の条件を備えなくても業務執行組合員になります。
また、ファンドそのものを証券取引法上の制限に加えることにより、この法律による人数制限はなくなりました。
この組合は、これまでは未公開の株式会社に投資をして、その株式が上場等になった時に市場に売却し、そのキャピタルゲインをもって組合員に分配するというのがそもそものスキームでしたが、特に未公開の株式に限定することは撤廃しました。投資の対象は、株式以外に社債・CPの他、多種多様な有価証券、信託受益権などの取得も可能になりました。
さらに、組合が出資している企業か否かにかかわりなく、どのような企業に対しても融資をし、あるいは債権を取得することもできます。加えて、他のファンドに対して投資することもできます。
つまり、ベンチャー投資としてのファンドから広く一般的な多様なファンド形態へと変わったといえます。
もちろん、元のスキームどおり、ファンドを組成する組合契約を締結し、登記を行なうことは従来どおりです。
なお、この施行と同時に投資事業有限責任組合も金融商品販売法の対象となります。つまり金融商品の一種であり、ファンドの組成を行なうときに出資者に十分な説明責任が生ずるわけです。
同時に証券取引法も改正され、投資事業有限責任組合のほかに海外のリミテッド・パートナーシップ、投資事業を営む民法組合や匿名組合などのファンドの持分を証券取引法上の有価証券とみなして、投資家保護のルールを適用されることになります。投資事業を営むとは、金銭その他の財産のみをもって出資の目的とすること、一人または数人の組合員に組合の業務の執行を委任するものであること、などを言います。
これにより、不公正取引が禁止され、故意に虚偽の情報を利用して投資家を勧誘するなどの行為を行うと罰金、課徴金が課せられます。金融商品販売法の対象でもあり、投資家に対する勧誘を行なう場合は元本の欠損が生じるおそれがあるなど投資リスクを説明する義務が生じます。
さらにファンド公募については、適格機関投資家以外の一般投資家を50名以上募集する場合などは有価証券届出書の提出を要するとともに継続開示を求められます。
加えて、ファンドの持分の売買、募集等を業として行なう場合は、証券業の登録が必要となります。
ファンドの活用例
ファンドとなりますと、今までの単に未公開企業への投資というスタイルだけでなく様々な投資スキームができます。
前向きな投資だけでなく不良債権ファンドにも活用できます。
@ ベンチャーファンドによるつなぎ運転資金融資
投資対象先のベンチャー企業に対して、追加の出資ではなく融資という形で資金援助することができます。これまでは投資しかできませんでしたが、融資もできることになり、一時的な運転資金のためには貸付の方がふさわしく場合に行なうことができます。
A 事業再生のメザニン融資
事業再生ファンドとして出資した企業に利率は高いミドルリスクミドルリターンの劣後融資を実行でき、多角的な支援を行なうことができます。
逆に、正式な投資・出資を行なう前のブリッジ・ローンの実行を行なうこともできます。
B 債権買取による再生
銀行等の融資している債権を買取することができます。
さらに、それを利用して現物出資して債権の株式化を行なうこともできます。
C TOB型事業再生
上場株式の公開買い付けをファンドで行なうことができます。
その他、アメリカの年金基金の7割が活用しているというゲートキーパーファンドへの利用も提案されています。機関投資家から大口の資金をファンドで集め、さらにその資金を地方・地域の小型ファンドへ分散投資するスキームです。
日本経済が再び活況の様相が見え始め、中長期的には株価も一定の水準以上に向かう方向が見え始めている今年は、後半から来年にかけ、おそらくかなり多様なスキームのファンド組成の提案があると思われる一方、新しいスキームに着眼して検討を行なう所も増えると予想されます。
地方の優良企業や高利回り不動産、地方銀行の関連不動産の活用など、これまで資金が行き渡らなかった部分への投資対象の開拓と合わせて、相当な動きが予想されるかもしれません。
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