■ Back Number  ■ 2002年 12月 No.128
 
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【電子商取引に関する法的問題】

 インターネット時代において、ウェッブを利用した申込や依頼をすることは日常的になりました。資材の仕入れや発注から商品の販売、個人においてはチケットの申込や旅行の申込などネットを利用した商取引はかなり浸透しているといえます。
 これらはすべて法律上は契約に関する行為となるのですが、従来の民法で規定されている規定をそのまま適用しずらいケースが多々あります。そのため既に電子契約法が制定され、その法律については過去にも説明しました。しかし、電子契約法だけですべてを解決することはできず、またすべての取引を想定していないため、なお従来の一般法とのからみで検討しなければならないケースが圧倒的に多いといえます。先般、経済産業省からこれら電子商取引等に関する準則という資料が作られ、この分野についての検討がされました。

なりすましによる意思表示のなりすまされた本人への効果の帰属
 ネット通販において主に決済の問題としてクレジットカード決済などで消費者側から見て商品購入と代金決済とで相手方が異なる場合、複数の当事者間における法律問題はどうなるかが問題になります。この場合、本人と売主との関係、つまり契約は成立したといえるか否か。また、本人とカード会社との関係、つまり本人に代金支払い請求ができるかが問題となります。
 これはそのサイトのセキュリティの程度によります。本人確認について事前合意がない場合、なりすましの取引の効果は本人に及ばないので契約は成立しません。継続的取引などで特定のIDやパスワードを使用して本人確認を行うなど事前に確認の合意がされている場合にこの方式でなりすましの利用をされた場合は本人に効果が及び契約が成立します。売主側が必要な措置をして本人と認識するにつき過失がないからです。しかし、通常合理的に期待されるセキュリティレベルよりも著しく劣る場合などはこの効果が制限される場合はあります。
 カード決済についての支払い義務は、なりすまされた本人に責任がある場合は賠償義務がせあります。責任がない場合は支払義務はありません。本人に責任がある場合とは、カード会員規約などで特定されており、家族や同居人がクレジットカードを使用した場合、他人にカードを貸与し、そのカードが使用された場合、本人しか知りえないID・パスワードが使用された場合などあたります。逆に責任のない場合は、カードやカード番号等を適切に管理・保管していたとき。加盟店からカードに必要な情報が漏洩し使用され打破藍などがあたります。

未成年者による意思表示
 民法4条では契約の一方の相手方が未成年者の場合、意思表示を取り消して契約の効力を否定することができます。他方、年齢確認画面において年齢を偽って対応した場合、民法20条の詐術の適用となり取り消すことはできないのではという20条の詐術の適用となり取り消すことはできないのではという議論がある。ネット通販で年齢を偽り未成年者が商品を購入した場合、契約を取り消して代金支払いを拒否できるか。
 これは事業者側でネット取引画面上で年齢確認の措置とっているか、またその内容による。通常の対面取引では、相手の要望から未成年者の疑いがあるときは身分証明書等により確認判断ができるが、ネットの場合は未成年者が成年になりすまして取引するケースは増加すると考えられるので取引の安全という観点からある程度確認について施しているかどうかがポイントとなる。単に「成年ですか」「はい」とクリックさせめ程度では保護されないと解される。「未成年者の場合は親権者の同意が必要である」旨警告した上で、年齢確認措置をとっているなどしている場合は、未成年者が故意に虚偽の年齢を通知していると判断でき、未成年者の取消権は失われると解される。

サイバーモールの運営責任
 電子モールの取引で損害を受けた買主は運営者に損害賠償請求できるか。例えばショップ経営者が行方不明となり連絡がとれない場合など。
 通常は、運営者とモールの買主との間には直接契約関係がないので、個々のショップ取引の損害について運営者は原則として責任を負わない。但し、そのショップが運営者自身による営業と買主が謝って判断するのもやむを得ない外観が存在し、その状態が運営者の責任であり、買主が重大な過失なしに営業主を誤って判断して取引した場合、運営者が責任を負う場合がありえる。例として、モールのホームページで商品を選択すると、そのまま統一のフォームによる購入画面に移動するような画面構成の場合など。逆に責任を負わない事例として、「ショップはそれぞれ運営する出店者が自己の責任において運営しており、特に明示している場合を除いて当社と関連会社が管理または運営しているものではありません。」とウェブ上で表示している場合。

景品表示法による規制
 ウェブ広告において景品表示法4条の不当表示として禁止されるのはどのような場合か。ウェブで示す自己の供給する商品・サービスの内容・取引条件の表示も同法の規制の対象となる。問題となる例として、ウィルス駆除ソフトのダウンロードなどで、実際にすべてのウィルスに対応していないにもかかわらず、「すべてのウィルスに対応し、かつ100%の発見率」と表示すること。既に新商品でなくなっているのに、更新日を表示せず「新製品」など商品の新しさを強調表示し、いまだに新しい商品であるかのように誤認されること。情報サイトにおいて60分以上利用した場合に限り30分間無料になるにもかかわらず、単に「30分無料」と無料で利用が可能となる条件を示さずにあたかも何の条件もなく、無料で利用できるかのように表示することなど。

特定商取引法の規制
 ネット上で特定商品取引法の指定商品等を販売する事業者は、同法の広告規制に従って一定事項の表示をし、誇大広告の禁止が指定されている。

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