■ Back Number  ■ 2002年 12月 No.127
 
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【企業組合ってなに?】

 前に中小企業挑戦支援法の説明の中で企業組合について言及しましたが、企業組合ってなに?という質問も多かったので今回は企業組合について説明しましょう。これを利用すると有限会社や株式会社などある程度の資本金を作らないと設立できない法人としての事業について、個人の集団で匹敵できる法的効果を得ることができるため、ベンチャーとして起業しようとする場合には有力な手段の一つとして構成することができます。

企業組合とは
 中小企業等起用同組合法に制定されている制度で、個人事業者や勤労者4名以上が事業を統合して組合を組織するものです。ここでいう統合とは、個々の資本と労働を組合に集中する意味です。組合員は組合の事業に従事し、組合自体がひとつの企業体となって事業活動を行う組合となります。
 例えば、個人事業者が合同して経営規模を拡大したい、趣味の仲間でビジネスを興したい、中高年者などが脱サラして特技や資格を生かして事業を始めたい、生きがいや地域貢献を求めて行動したい、ソフトウェア開発やネットを利用したSOHOを興したいなどという目的に使えます。

組織の特徴と設立要件
 4人以上の個人事業者や企業をリタイヤして勤労者、農業者、主婦、学生、高齢者などが互いに資力と知恵・技能を出し合って企業体を作ります。株式会社等のような最低資本金制度はありません。企業組合は定款、事業計画書、設立趣意書、出資引受書などの書類をまとめて知事に申請し知事の認可を得て成立します。組合は人的結合体なので利益を出資配当せず、組合員の職場と生活を確保する雇用の場として働いて報酬を得る労働分配を目的としています。そのため全従業員の1/2以上は組合員でなければならず、かつ2/3以上は組合の事業に従事しなければなりません。ですから、組合成立前に独立した事業者でも自己の事業を廃止するか、または組合に全面的に移行しなければなりません。
 組合の事業形態としては、ひとつの事業所に集中して合同で事業を営む集中型のタイプ、これは従来営んでいた事業所を閉鎖して事業所を一箇所に集め組合自体が事業の活動主体となるやり方と、分散型タイプ、組合員が従来から営んでいた事業所を組合の事業所として存続させる方法とがあります。仕入れや販売については各事業所に任せて(事業所長は組合員の場合が多い)、組合本部は、主として各事業所の売上管理やコストの支払等の業務を行います。
 税務上の特徴として、零細個人事業者の所得は実質的に勤労所得者と同じ場合が多いので、組合員の場合は、勤労所得者として扱い税の軽減措置が図られます。組合自体の収益は法人税として扱います。定款、受取書は非課税、設立登記・変更登記の登録免許税も非課税です。
 国、県の補助金の対象、高度化資金等の公的融資制度も受けやすくなっています。

中小企業挑戦支援法による改正
 そうは言うものの、もっと外部からも出資してもらいたい、広く人材を募りたいし、アルバイト・パートの利用もさせたいなどのニーズが強まったこと、および企業組合という雇用吸収の一組織をもっと活性化させたいという国の思惑もあって中小企業挑戦支援法により組合法を一部改正するむことになりました。その内容としては、組合員資格の緩和。従来個人のみに限定していた資格を、組合の事業に必要な物資や役務を提供するなど組合事業の円滑化に寄与する法人や有限責任組合等が加入できるようにした。従業員比率、組合員比率も緩和して、従業員比率は1/2以上、組合員比率は1/3以上とした。

企業組合の事例
 組合の事例としては、高齢者が組合員となって高齢者の生きがい作りに寄与する在宅福祉サービスを事業とする組合。主婦が中心となって託児所を始めた組合。農家の主婦が中心になって地元の特産品を生かして開発したヘチマ化粧品の製造販売を行う組合。住宅関係勤労者が中心になって住宅・暮らしに関するコンサルティング、リフォーム、不動産売買などを行う組合、各種事業者の奥さん方が中心となって地元の特産品の製造販売を行う組合などがある。企業組合の数は全国で2000ほどになっています。

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