■ Back Number  ■ 2002年 10月 No.124
 
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【20代を救え】

 最近の失業者の内訳の分析によりますと、中高年よりも若年層の失業が増えているといいます。内容は、自発的退職による失業の増加と新卒浪人といいます。また、高卒の就職になりますと土砂降りの状況という報告と統計が出ております。
 春先くらいまでは、新聞紙上の記事というくらいしか認識がありませんでしたが、このところ実際に若くても仕事にありつけない人を目の当たりに見る例に何件か出くわし、若年層の就職難には深刻なものがあると感じています。

就職難の青年
 その一人は、音楽志望の青年。元々、学生時分からバンドに入りドラマーを得意としていた青年だそうです。音楽関係の専門学校に通 っていましたが、長引く不況の中、音楽関係の仕事などもなく、もちろんバンドとしてまだ世の中に認められる存在でもないので、結局望みの就職もできず、昼は倉庫の手伝い、夜は飲食街での手伝いなどしてすごしているといいます。
 もう一人は、デザイン関係の学科を卒業した大学生(卒業したから元大学生でしょうか)。やはり建築関係の不況などもあり、就職のためたくさんの会社や事務所にあたりましたが、採用にいたらず、やむなく昼間は運送会社で働き、夜はやはり飲食関係のバイトをして繋いでいるといいます。
 前者の彼は、まぁ、音楽関係ですから、これは夢を追っているわけで、彼はその音楽で身を立てるか、どこかで自分の状況を見定めて方向転換するか決断しなければならないでしょうし、それまではどうしようもないと思います。
 問題は後者の彼。いろいろ聞くと、それなりに能力もあるようです。大学にいたときもきちんと勉強していたようですが、どうも阿不況業種ばかりにしぼって就職活動をしてしまったようです。どうしても設計関係となりやすいわけですが、建築案件がしぼんでいるなかで、設計関係の就職があるわけでもなく、ようやく募集の案件を見つけても、経験・実績により優先順位 が決められてしまい、狭い門であるどころか、足切りにあってしまうこともしばしばだといいます。しかし、どこかで働かないと当然、経験も実績もできないわけで、彼としては大いに悩んでいます。

活躍している二十代
 他方、適材適所に配属されて実力を発揮している二十台がいます。
 姫路のグループホームで働くM君。彼は、法学部の学生でしたが、就職活動中に母親から近所にグループホームがオープンするので、介護関係の仕事をしてみないかと進められました。母親も介護関係を仕事をしていた関係から進められたといいます。彼ももともと人の世話をしたり、人と話をするのが好きな性格で、お年寄りの世話に興味があったことから、新卒でそのままグループホームに就職、スタッフとなりました。元々、福祉と関係のなんい世界から入りましたから、最初の研修のときは失敗ばかりで、怒られ続け泣きながら追っかけたこともありましたが、お年寄りと一緒にすごすのが楽しく、仕事場が楽しくて仕方がないといいます。今では、男手も少ないこともあり、容姿も氷川きよしに似ているということから施設のアイドル的存在で皆からかわいがられています。
 和物の雑貨店を経営するI社では、今度雑貨店のオーナーをめざす人のために雑貨塾を設置することとなり、その事務局として女性スタッフを募集したところ、数人の応募がありました。履歴書を見た社長は驚愕したといいます。というのは、どれもそこそこの会社の経験を得て、キャリア、能力もあり、わざわざ自分の会社でなくても他の会社でも採用されるような人たちばかりだというのです。全員に面 接して、やはり付け焼刃のメッキでもないことを確認して、とても甲乙つけ難く、泣く泣く一人の人に絞りました。採用された人は、明るくはつらつと仕事をしています。社長は、その他の人もできれば今後新たな店舗を出店するときに声をかけたいと思っています。
 ベンチャー向けのコンサルティング会社D社には縁故で期待の新人が入社しました。その会社自体も少数精鋭でなかなかマンツーマンで教えてねらう機会も少ないのですが、先輩からの教わり方もうまいのでしょうか、取引先の紹介も得て少しずつ仕事を覚えてきて頭角を現してきています。また、この会社の教育部門の担当もしていて、そこでの利用者や講師との出会いなども彼の財産になってきているようです。
 当事務所の取引先のブロードバンド事業の運営・企画を行うR社。ここの製作部門に期待の新人T君が入ってきました。ベンチャー企業に新卒の新人はなかなか入ってこないのですが、彼は元々建築関係の勉強をしていたそうですが、これからはこの種のベンチャーが成長すると認識して、一からスタートするつもりで入社したといいます。会社としても現場の仕事の流れや営業のやり方を教えたところ、大変に吸収が早くその勘所もすぐれていることから会社のホープとして期待しています。

今、二十代をどう活用するか

 活躍している人の事例を見てどう思われるでしょうか。二十代の諸氏には潜在的な能力が多数眠っており、うまく掘り起こしたり、指導すれば、それが宝物のように光り輝く事例が多いことがわかります。また、結構すばらしい能力やキャリアがありながら、なぜか埋もれている人も多数いるのが現状です。
 さて、ベンチャーの方からみてどうでしょうか。ベンチャーも若い力が中心になって進めているといっても、私も含めてあと十年たったらどうですか、皆いい年になっています。そのとき、前線に立って頑張ってくれる人を育てておく必要があります。少子高齢化が進むにつれて、社会の担い手は今の若者に頼らざるを得ないのにもかかわらず、若年層がその活躍の場がないという不思議な状況になっています。上記の事例の人は運がいいのだと思います。共通 して言えることは、いいものをもっているが、経験を積む機会がないということ。そのために即戦力にならないというベンチャーの理由でチャンスが逃げて生きます。ベンチャーもとても人を育てている暇がないといいます。どうもここの所のメカニズムを改善しないと両方ともつぶれてしまうように思いますが。今の二十代には、掘り出し物がたくさんあるように思います。ほんの少し、三ヶ月か半年程度、仕込めばアシスタントとしてすごい戦力になると思いますが。今度、当事務所でも応援システムを考えたいと思いますが、皆さんにもいい企画はないでしょうか。

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