■ Back Number  ■ 2002年 10月 No.121
 
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【社名にローマ字が可能に】

 このたび、商業登記規則の一部改正する法律が通常国会で成立し、今年の11月1日から施行されることになりました。
  この改正の中身は、法人の商号・名称においてローマ字を使ってもよいという内容のものです。

改正条文
 次の条文が新設されました。
「(商号の登記に用いる符号)
第51条の2 商号を登記するには、ローマ字その他の符号で法務大臣の指定するものを用いることができる。
2 前項の指定は、告示してしなければならない。」
法務省告示
商業登記規則第51条の2第1項の規定に基づき、商号の登記に用いることができる符号を次のように定め、平成14年11月1日から施行する。
1 ローマ字
2 アラビヤ数字
3 アンパサンド、アポストロフィー、コンマ、ハイフン、ピリオド及び中点

その概要と背景
 従来、商業登記において会社の商号の登記にローマ字を用いることができませんでした。しかし、社会情勢の変化、ビジネスの国際化、日本語表記の多様化などに伴い、通 称として商号の表記にローマ字が用いられるようになり、商号の登記にもローマ字を使用して表記したいと要望が増えてきていました。このような背景から今般 (というかやっと)法改正され、使用が可能となりました。
 対象は、法人全般です。株式会社、有限会社、合資会社、合名会社の営利法人だけでなく、特定非営利活動法人(NPO法人)、社団法人、財団法人、学校法人、医療法人、社会福祉法人など民法法人も含まれます。
 使用できる文字は次のとおり。
ローマ字、つまりアルファベットです。大文字、小文字双方が使えます。
アラビヤ数字(法令の表現のママ)1,2,3…などの数字です。
「&」(アンパサンド)
「‘」(アポストロフィー)
「,」(コンマ)
「−」(ハイフン)
「.」(ピリオド)
「・」(中点)
上記「」の文字は、名称の言葉を区切る場合にのみ使用し、商号・名称の先頭又は末尾に使用してはいけません。ただしピリオドだけは省略を表す意味で末尾に使用してもよいことになっています。

類似商号の問題
 ローマ字の使用が認められるようになっても発音上の類似などにあたる場合は類似商号となります。たとえば「本田」と「HONDA」、「APPLE」と「アップル」は類似商号にあたります。
 商号に用いる文字にはいろいろなバリエーションが考えられます。ローマ字と日本文字の組合せも当然認められます。たとえば「ABC東日本株式会社」「大阪XYZ株式会社」などです。また「Abc株式会社」など大文字と小文字の組合せも可能です。
 「@,!,?,[ ]」などの文字は使用できません。特にネット系企業では@は使いたいでしょうが、@はローマ字ではありませんので対象外です。
 また、商法ならびに商業登記法上の規定により「株式会社」や「有限会社」などの使用を義務付けられている文字は、それぞれこの言葉を使用しなければならず、「K.K」「Company Incorporated」「Co.,Inc」「Co.,Ltd」であらわすことはできません。

変更の手続き
 ローマ字等を用いることにしたい場合、これも商号の変更ですから、まず株主総会を開催して定款の変更をしなければなりません。定款において「当会社はエイビーシービジネスサービス株式会社と称する」とか「当会社は、エイビージービジネスサービス株式会社と称する。英文では、ABC Business Service Co.Ltd.と表示する」という場合は、「当会社は、ABC Business Service株式会社と称する」などに変更し、商号変更の登記を申請します。
 「当会社は、ABC Business Service株式会社と称する。登記上は、エイビーシー・ビジネス・サービス株式会社と表示する。英文では、、ABC Business Service Co.Ltd.と表示する」という定款があらかじめ表記されている場合は、商号の登記の更正の手続きで変更できます。
 登録免許税は、本店所在地においては、登記の変更の場合は3万円、登記の更正の場合は2万円です。また、支店における登記の場合は、登記の変更は9千円、登記の更正の場合は6千円です。

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