■ Back Number  ■ 2002年 5月 No.112
 
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【ストックオプション税制】
平成13年12月改正商法の施行日決まる
 平成13年12月に成立した改正商法、すなわち株主代表訴訟の際の取締役、監査役の会社に対する責任軽減、監査役機能の強化等を定めた改正商法の施行日が決まれました。
 施行日は、今年の5月1日からで、このレポート配布時には施行になっています。
 この結果、今年6月に定時株主総会を開催する予定の会社の場合、改正商法による議題を提出することができ、取締役、監査役の責任軽減等の議題を提案できます。
 中小企業、特にベンチャー企業には、一見直接的には関係ないように見えますが、グリーンシート登録銘柄などの場合は、法的には普通の上場会社と状況はまったく同じであり、責任軽減のための定款変更を検討する余地はあります。
 但し、実際に今年の総会において定款変更を検討する企業は少ないと言われます。
 その理由として、定款変更を行って取締役会において当該取締役・監査役の責任を軽減する決議をしても3%以上の株主の反対によって株主総会の特別決議を必要とすることになること、現在総議決権の3%の取得はそう難しくなく、結局総会の特別決議になるのならば、最初から堂々といざというときに総会へディスクロージャーして決議を得た方がよいという判断があること。 さらに現実的には、株主代表訴訟の場合に和解するケースでは大半が取締役の報酬の2年以内の分に収まっており、わざわざ定款を変更してまで防御する意義は薄いことなどがあります。
 他方、監査役に関する規定の変更は注意する必要があります。まず、平成14年5月1日に属する決算期の最終の定時株主総会までが、監査役の任期3年とされています。ここを注意してください。
 これらの規定にかかわらず、施行後は監査役の取締役会出席義務が生じます(ただし会計監査のみの小会社の監査役は除く)。 ただ、傍観者として取締役会に出て座っているのではなく、業務監査の役目として必要に応じて取締役会で意見陳述することができます。
 中会社でも実質的には名前だけとか、名誉職的に監査役に就任している人もいますが、この際に監査役のあり方について見直してみるのもいい機会ではないでしょうか。

ストックオプション税制の改正

 会社の従業員にストックオプションが付与されると、それは株式で給与が支給されたと見なされ課税の対象になりました。そうすうると現金は手元にないにもかかわらず税金が課せられることになり、酷となることから、いわゆるサラリーマンの人にストックオプションが付与される場合について、租税特別措置法により特例が設けられていました。この特例に該当するとオプション付与時、権利行使時には課税されず、株式を売却したときに一括して払えばよいことなり、サラリーマンには負担が軽くなっています。
 今回、商法改正にあわせて適用対象者の範囲や権利行使価額の限度額が広がりました。
 範囲としては、子会社の取締役または従業員も含まれることになりました。従来の商法上のストックオプションは、当該会社の取締役、従業員しか対象にしていませんでしが、今回の改正で関係会社にも付与することができるようになったので、特に商法上の子会社でれば、対象にすることにしました。

特例の対象
 いずれも大口株主は対象にはなりません。よって創業者オーナーへの付与は本来どおりの課税のタイミングとなります。
 従来の新株引受権または自社株譲渡請求権が対象となるためには、
(1) 株主総会付与決議の日から2年間権利行使できないこと。
(2) 年間の権利行使の合計額が1000万円を超えないこと
(3) 1株あたりの権利行使価額は付与契約締結時の1株あたりの価格相当以上であること。

 新株予約権付与の場合に対象となるのは、
(1) 新株予約権の権利行使は、その付与決議の日から2年経過した日よりその付与決議の日後10年を経過するまでに行われること
(2) 年間の権利行使の合計額が1200万円を超えないこと
(3) 新株予約権は譲渡してはならないこと
となっています。
 現在のところ、さっそく新株予約権によるストックオプション付与を検討し実際に手続きに入っている会社も多数あります。付与を検討する場合には上記特例も含めて注意して検討してください。

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