■ Back Number  ■ 2002年 3月 No.109
 
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【ご用心!ご用心!】

うまい話にご用心
 先日、ある会合で出席者と話をしていましたら、こんな話を聞きました。
 この人は、34歳の男性で見た感じもう少し若い美形のおとなしい感じの人なのですが、それが外見と変わって熱っぽく語るわけです。聞くと、このごろ数年前から地下鉄などのポスターにも登場する南方系のフルーツ飲料の販売を手掛けているというのですが、これが会員を募ってネットワークビジネスをするという。それは○○スキンなどとおなじではないか、ネズミ講とは同違うのかなどと質問をすると、それらののものとは明確に違うと断言し、この仕事は在庫を待たないで販売をするものであり、画期的なシステムで、世界的に広がりを見せている。利益をさらにシステム改善のために投入しており、それがより消費者にとって利用しやすい効果 をもたらしている等々と説明します。
 この仕事の幹部としては、みんな1000万円プレーヤーなのですが、自分はまだ年収900万円なのだといいます(それでも、まぁよくもらえているものです)。
 実にまぁ、結構なお話なのですが、我々の目からすると極めて不自然な話です。例えば、数年前から本当に画期的なシステムならば、この不況下で大きな成果 をあげていることでしょうし、彼の説明では何十億の資金投下を国際的に行っていると言いますが、本当にそんなことをすれば利回り、すなわた資金効率が疑われるわけで、この経済環境下てそんな投資ができるわけがありません。
 よくよく伺うと、彼は元々、コンビニの店員や市場の会社の社員を得て独立したとかで、おそらくその数字の流れの実態、本当の財務内容の検証の方法などは皆目わからないのでしょう。数字のことがわかっていれば、けしてこのような事はありません。
 彼は、しきりに成果が上がっていろいろなマスコミも取材にきている(私は読んだことありませんが)、流通 面も画期的なシステムを導入したいり提案したりしていると言います。つまり抽象的な文句をちりばめられて極めて巧妙に、将来を、あるいは夢をくすぐるような勧誘を毎日のように受けて洗脳されているのでしょう。本心から堅く信じ切っていると見受けました。
 もう一人、こんな人がいました。元々は小さな専門学校の講師をしていた人で、その学校の経営面 の管理も手伝っていたといいます。その人が、出会ったある人の誘いで独立することにして、やろうという仕事が専門学校の経営となぜか健康食品の販売。特に水の販売を手掛けるといいます。既に立派なチラシも用意していました。
 学校の方はというと、そのパートナーが資金調達して専門学校を買収するといい、その買収金額は15億円といいます。しかも調達先は、大金持ちのおばさんたった一人で、その人を口説いているといいます。その人は、金儲けには興味がないが、クリスチャンでバチカンから成果 を認められたいために学校事業への勧誘に関心を示しているという話です。 その話をしている人も大体38歳くらいの人。 こちらの方は、もっと考えればすぐわかりそうな話ですが、今時、大学の買収ではあるまいし、経営不振の専門学校の買収に15億円もするわけもなく、仮にそうだとしても、今後の売上から考えると利回りなどとてもペイしません。加えて、資金調達先が一人で15億円も出せるかという話で、もしそのま話がこけたらどうするのですか、と意地悪な質問をしかったけれども、その場では悪いのでやめました。

いかに信じやすい人が多いか
 この人たちに共通していることは、大体三十代の中堅から後半とうこと。独立という言葉に魅力を感じつつ、実は財務関係とか金融・資金ということについてはまったく疎く、そういう数字に関わる発想が欠落しているいうことです。
 それも必ずしも難しい理屈というわけでもないのですが、不思議と疑うということがないようです。オーム真理教の信者の中に意外に有名大学出身のエリートが多かったと言います。現在に弾き直すと結構年齢的には同じ世代の人が多いのも特徴的です。この辺の世代は、詰め込み式受験勉強の権化のような世代で、一ひねりして物を考えるということに疎いのだと思います。
 以前に私の出身ゼミの合宿に手伝いにいって、この世代のの当時の学生相手にゼミにつきあったことがあります。我々の現役のころは、問題に対して、いろいろな事例を検討して回答に至る問題点などを検証しつつ回答を構成しました。その学生たちは、当時既に普及していたパソコンで立派なレジメを作り、有名な学説の先生の基本書の該当する文言を切り張りし、これが回答ですと応えていました。中には、本気で司法試験をめざしますという人までいて、わずか数年でどうしてこんなゼミになってしまったかと嘆きました。恩師である教授に伺ったところ、「今の学生は勉強しませんから」と言われました。
 どうもこの辺に原因があるように思えますが、大学は出たものの、本当に考えない30代が潜在的に多いのではないでしょうか。

債権回収を諦めていませんか

 先日、ある小売業の社長に弁護士を紹介してほしいと頼まれ先輩を紹介しました。
 聞くと倒産したり業績の悪い取引先に対する不良債権が生ずるので、日頃から対策を考えたいというものです。その社長は、いちいち裁判をする時間もコストもかけられないし、またかける程の金額でもないが、さりとて散りもつもれば山となるのでどうにかしたいという話でした。私も、そのような話とはと後から聞いたのですが、このあたごレポートの初期のころにも連載した「あぶない会社の見分け方」や「債権回収・督促の方法」などを再度連載する必要があるように思いました。このごろは、以前ほど貸し倒れや焦げ付きの話が少なくなったと思い、このところ話題にしなかったのですが、結構回収の基本をご存じない方も多いようです。
 あぶない話といい、回収の話といい、以外とご注意いただいてると思っておりましたら、そうでないということのようです。気をつけてくださいといういうのは簡単ですが、どう気をつけたらいいのか、今後のレポートで再度検証していきたいと思います。

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