■ Back Number  ■ 2002年 3月 No.108
 
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【商法改正 (6)】
ーさらに商法改正の追加がー
 商法改正ラッシュですが、4月1日に二度目の会社法大改正の施行が始まるのにもうそれに続く商法改正が二本続きます。

平成13年12月改正

 一部は過去のあたごレポートで既報済ですが、株主代表訴訟に関する責任軽減と監査役制度の強化が主な柱です。施行の期日は決まっていませんが、6月1日ごろと予想されています。
<主な内容>
氈@取締役の責任軽減
ウ 株主総会決議による責任軽減
 犯罪行為や重大な過失の場合を除き、株主総会の特別決議により代表取締役は報酬の6年分、代表取締役以外の社内取締役は報酬の4年分、社外取締役及び監査役は報酬の2年分の責任範囲以内の賠償責任まてせに軽減することを可能とした。
エ 定款の規定に基づく取締役決議による責任軽減
 定款の規定に基づく取締役会決議においても取締役及び監査役の賠償責任を前記と同様に6年分〜2年分までに軽減することを可能とした。
 但し、取締役会決議後に総株主の議決権の3%以上の株主の異議があれば責任を軽減できない。
オ 社外取締役の責任軽減
 社外取締役は定款の規定に基づいて「責任限定契約」を締結することによって、責任を軽減することができる。
 株主代表訴訟の見直し
 会社提訴のための考慮期間は、現行の30日以内から60日以内に伸長された。
。 監査役制度の強化
ウ 監査役の任期  監査役の任期を現行の3年から4年に伸長
エ 商法特例法上の大会社は、監査役を3人以上選任し、そのうちの半数以上は社外監査役でなければならない。
オ 監査役を辞任した者は、その後最初に招集される株主総会に出席した、その旨および その理由を述べることができる。
カ (小会社を除く)監査役は取締役会への出席義務及び意見陳述義務を有する。
  ベンチャー企業にとっては監査役の任期が変わることに注意が必要です。任期は現行の3年から4年になりますが、この法律の施行後最初に到来する決算期に関する定時株主総会終結前に在任するものの任期はなお従前の例よるとされます。仮に施行日が6月1日とすると、例えば3月決算の会社だとその後に到来する決算期最初の定時株主総会は平成15年6月です。これより前の定時株主総会に就任した監査役の任期は3年です。監査役の就任は総会終結の時をもって始まると解されているので15年6月総会で就任する監査役の任期は4年です。注意してください。

商法改正案

 法制審議会の答申を受けて政府は3月15日の閣議で次の商法改正案の決定を行い、今通 常国会に提出した。主な内容は以下のとおり。
氈@譲渡制限会社において、取締役等の選解任について内容の異なる種類株式を発行できる
 株券失効制度の創設
 現行法では、株券を喪失した者は、裁判所に公示催告手続きを行い除権判決を得ないと新しい株券の再発行ができない。これには費用がかかること、手続きの時間が1年近くもかかることなど弊害も多い。
 そこで株券失効制度を創設し、発行会社の手続きとして株券の権利失効と再発行の手続きが行えるものとした。
。 所在不明株主の株式売却制度等の創設
 所在不明株主の株式について5年以上も何の連絡もない場合、取締役会の決議により競売することができるようにした。
「 株主提案権の行使期限の繰り上げ
 株主の議題等提案権及び招集通知登録請求権の行使期限について、会日より6週間前の規定を8週間前に改める。少数株主の招集権につき、請求があった日から6週間以内の日を会日とする総会の招集通 知が発せられなかったときとの規定につき8週間以内と改める。
」 株主総会の特別決議の定足数の緩和
 特別決議の定足数につき定款をもって別段の定めをすることができる。但し、総株主の議決権の1/3まで下げることはできない。
、 株主総会招集手続きの簡素化
 譲渡制限会社において定款をもって招集通知期間を現行の2週間から1週間に短縮することができる。
 株主総会の決議につき、議決権を行使できる株主全員が書面または電磁的方法により当該提案に同意したときは、当該提案を可決する総会決議があったものとみなす。
・ 大会社のコーポレットガバナンス規定
<小規模企業・ベンチャーには直接関係ないので省略>
ヲ 現物出資・事後設立等の目的財産の価格の証明
 現物出資・事後設立については、原則として裁判所に検査役の選任を申立て検査役の検査を受けなければならなかったが、これを弁護士、弁護士法人、公認会計士、監査法人、税理士、税理士法人の証明に代えることができる。
ァ その他
 資本減少手続きの合理化、外国会社の手続きの見直し等 ベンチャーにとっては譲渡制限の会社でのみ新たに認められる取締役選任に関する種類株式について注意が必要です。今後、VC等の投資の際に条件として、この種類株式の発行を要求してくるケースが十分に考えられます。ベンチャーは資本政策の際に今後、リーガルリスクの観点からリーガル面 の参謀が絶対に必要です。  現物出資・事後設立等の検査について従来の検査役選任の手続きから解放され、弁護士、公認会計士等の証明ですむことになるのは朗報です。

 

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