■ Back Number  ■ 2002年 3月 No.108
 
2003年
2002年
2001年
2000年
 
【商法改正 (5)】
ーIT化と定款の変更ー
 平成14年4月1日から施行される二度目の会社法大改正の目玉の中に会社の書類関係の電子化があります。
 電磁的な方法とは、メールやWebサイトの閲覧、CD−ROM、フロッピーディスクなどの交付等の方法により行うことであります。
 電子化が許されるのは、書面による請求、通知に関するもの、書面で提出するものなどです。

電子化が許される請求・通知
 請求、通知関係で電子化が許されるものの主なものとしては、株主に対する株主総会の招集通 知、株主の提案権、株主の株主総会開催請求、議決権の不統一行使の通知、反対株主の株式買取請求権行使 取締役会の招集権者以外の取締役による招集の請求、譲渡制限会社における譲渡承認請求、株式の転換に係る請求、累積投票権請求、取締役から監査役への計算書類および付属明細書の提出、監査役から取締役への監査報告書の提出、社債申込書の交付などです。
 会計帳簿等に関しても貸借対照表・損益計算書・損失処分案・営業報告書・付属明細書の作成、株式申込書の記入と作成、株主名簿・新株予約権原簿、株主総会議事録、取締役会議事録等の作成が対象となります。

招集通知等の電子化
 招集通知等を電子化するには、前提として条件があります。ひとつは株主全員に電子化する旨の通 知を行い、その同意を得たものに対して対象となります。なお、その前に取締役会の決議が当然必要です。
 メールにより議決権を行使できるようにするには、まず書面による議決権の行使ができるようになっていなければなりません。これまでは書面 による議決権行使ができるのは商法特例法による大会社で議決権を有する被しの数が1000名以上の場合に認められていましたが、改正商法ではどの会社でも取締役会決議で認められることになりました。これによると招集通 知に付属させ参考書類等は参考書類規則どおりに作成しなければなりません。
 電子化に伴い、議決権行使作成の体制や電子化によるネット環境の整備やセキュリティーなど総務関係者にとってはかなりハードな仕事が待っていることになります。 (なお、議決権行使関係の書類の作成と指導、株主総会対策と指導などは、ベンチャーの法務室である当事務所にご用命ください)

定時株主総会における定款変更案

 商法改正(主に平成13年10月1日施行の最初の会社法大改正にかかる)にともなって必然的に変更しなければならない定款条項があります。大半の会社は、定時株主総会において改正を行っています。専門的には、額面 株式の廃止など法改正により当然廃止になった条項は取締役会決議での承認は可能であるが、例えば議決権に関して従来の「議決権のある株式総数の3分の1以上」という表現を「総株主の議決権の3分の1」という表現に変えるなどの字句の変更はもはや取締役会での変更では許されないという考え方があり、一般 には無難に株主総会で変更の決議を得ています。
 以下に一般の会社の定款の変更案を例示しますので参考にしてください。

(下線部は変更部分)
現行定款
定款変更案

(額面株式1株の金額)
第○条 当会社が発行する額面株式1株の金額は、金5万円とする。


(新 設)

(選任方法)
第○条 取締役ならびに監査役の選任決議は、議決権のある株式総数の3分1以上にある株式を有する株主が出席し、その議決権の過半数で行う。


(削 除)

(端株制度の不採用)
第○条 当会社は、1株に満たない端数を端株として端株原簿に記載しない。

(選任方法)
第○条 取締役ならびに監査役の選任決議は、総株主の議決権の3分1以上を有する株主が出席し、その議決権の過半数で行う

 

▲ページTOPへ

Copyright(c) 2002 愛宕法務経営事務所