■ Back Number  ■ 2001年 8月 No.90
 
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【外国会社を作る】
お知らせ
 今般、現在まで使用していましたプロバイダーが営業を終了するため、やむを得ずメールアドレスを変更することになりました。上記標題枠の中に新しいアドレスがあります。  また、仮に設置していましたホームページもこれに合わせて8月31日をもってひとまず閉鎖することになりました。今後、より充実した形で年末くらいまでには再開する計画ですので、よろしくお願いします。

今月はちょっと変わった話題をお送りします。

外国会社を作る
 当事務所の業務は、割と広範囲に及んでいます。ベンチャー支援のために会社設立から事業計画の企画、立案。第三者割当や株主割当、あるいは株式分割などの増資やワラント債の発行、ストックオプションの付与などの資本政策。事業債編のための株式交換や会社分割の手続やその戦略の提案。事業遂行について優位な条件確保やリーガルリスク回避をアドバイスしながらの契約の立案、資金調達の支援、、助成金・公的融資利用の計画提案や必要書類の作成。業務に必要な許認可の手続。そして外国人の入国に必要な在留手続。債権回収督促手続なども支援しています。
  分野的にもいわゆるベンチャー事業だけでなく、医療・介護分野や環境分野の相談や支援もしています。
 そいう中で、アメリカの現地法人設立の手続も支援しています。このごろ、アメリカで会社を作るという話も聞こえるようになりました。ネットで検索すると現地に会社設立の代行会社もあります。昔よりはかなり簡単に会社を設立できるようになりました。
 代行会社の場合、ネット検索してサイトを見つけだし、アンケート方式で必要事項を応えていきながら作成を依頼するという形式です。コストは、作成委託費用や税金すべてを含めておおよそ10万円くらいで作ってくれます。実際の取引は、ホームページで指示している外国銀行に代金を振込み、着金を確認してから作業が始まります。半月もあれば会社は完成しますが、すべて英文でして、翻訳した資料はもらえません。ケースバイケースによる細かい指示事項も伝えられません。ですからペーパー会社として活用するしか実務的には難しいと思います。実際、このような形で依頼するケースは、アメリカに会社を作って、その日本支社を日本で登記して、日本で使うというパターンで、日本で会社を作るのと比べトータルコストが低いのと、何となく外国会社と言うとかっこいいからというのが動機のようです。
 しかし、こういう動機は、作ったときにしか魅力がありません。本当に事業をやろうと考えた場合、このタイプでは都合が悪いのです。というのは、日本で登記ができても結局は外国会社であり、日本国内で例えば直接金融として調達することができません。日本の株式会社でないですから、資金の入れようがありません。また、日本の会社ではありませんから公的融資や助成金の利用もできません。単に日本の会社を作ると高いからという単純な素人的な発想ではやけどをします。
 しかし、本格的にアメリカ進出を考えているとか、アメリカ等の取引が本格化するので現地法人を作っておきたいという向きには威力を発揮します。この場合、現地にも通じた法務スタッフがやはり必要でしょう。
 当事務所はアメリカの中堅ローファームと提携して現地法人設立のフォローをしています。アメリカ法人設立手続は彼等のフィーも含めておおよそ先述と同じ10万円から15万円程度です(為替にもよります)。日本では株式会社の設立に登録免許税や定款認証の費用も含めて約40万円近くはかかるといったら向こうの弁護士は驚いていました。現地の事務所は日系人のボスが運営する法律事務所で割と有名であり、日系の企業のクライアントも多数かかえており、企業法務やさまざまな訴訟にも耐えうる体制で、日本語も通じるのが強みです。
 設立にあたって業務内容や資本、商号、役員など基本条件を打ち合わせます。大概は、デラウエア州に設立する方向で検討します。アメリカは州ごとに会社法がありますが、デラウエア州が一番束縛がなく自由に運営できので、日本からの設立はほとんどここでやります。デラウエア州で設立しても州外で営業することは認められており、デラウエア州に事務所がなくても設立できます。設立時に登記はしますが、これは登録のような感覚です。実際に営業を行う場所、例えばニューヨークで事業を行う場合、現地で営業許可をとります。これで名実共に現地で会社の設立が完成します。ドキュメント関係は、その法律事務所で保管・管理されます。アメリカの場合、設立登記すると年に一回維持手数料のようなものが徴収されます。ですから継続して管理してもらえるところと提携しておいた方がいいです。
 当事務所では、定款や取締役会の議事録等の翻訳をつけて書類を交付します。
 さて、日本支社を作る方もやります。この場合、現地法人の存在を立証する書類が必要になります。アメリカ法人の場合は宣誓供述書を英文で作って、それをアメリカ大使館領事部において証明しもらいます。日本人が申請する場合は、週に一回(現在は水曜日の午前中のみ)しか受け付けません。アメリカ独立記念日など現地の祝日の場合はお休みです。その場合はもう1週間待たなければ成りません。宣誓供述書を証明してもらうとその翻訳を作成して、やっと日本支社の登記申請ができます。従って、アメリカの会社のしくみがわかり、英文で宣誓供述書が作成できて、しかも日本の登記法上必要な事項が記載されている内容が作れて、かつ法務局の審査に耐えうる翻訳文が作成でき、かつ日本支社の登記手続を理解している、このすべてを熟知している所に頼まないとスムーズにはいきません。  そういうわけで当事務所は、こういう国際渉外業務も手掛けています。また、提携している米法律事務所へは各社の現地の業務パートナーとしても役立てます、この点も当事務所からサポートできます。米法理事務所は世界140カ所の拠点ももってますから、各社の国際戦略にきっと役立つと思います。
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