■ Back Number  ■ 2001年 1月 No.69
 
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【NPOは花盛り】
NPO設立は人気上昇
 NPO法人、すなわち特定非営利活動法人の設立がブーム化しています。99年12月にNPO法が施行されてから、現在までおそらく全国で5000件近くの法人が誕生しているはずです。
 NPOは、ボランティア団体が法人化できるといこともあり、福祉関係、養護関係の団体が設立を申請するケースが多いのですが、それ以外なも趣味の団体が法人の設立を申請するケースも多いです。
 NPO法人は、NPO法で定められた12種類の特定非営利活動を行うことを目的に、その構成スタイル(定款や予算、組織など)は社団法人を参考にされてモデル化していますのでミニ社団法人のような様相を呈しています。
 社団法人や財団法人などのいわゆる公益法人は、現在新規の設立を制限する方向にあります(これらは民法法人の特殊形で設立には主務官庁の許可が必要です)。NPOは、主務官庁の「認証」が必要なだけですので、法定の書類を不備なく提出すれば必ず受理しなければならず、結果として必ず認証しなければなりません。そういうわけで、このNPOのしくみに着目して設立を検討するところが多いわけです。また、収益は分配することを許されません。ですから公益法人の仲間のように見えます。そういうイメージからNPOによって事業を進めようとする傾向も強いようです。

行政の市民への分担が原点
 NPOという考え方はアメリカの方が先でした。州や市の方が手が回っていない施策を市民たちが自分たちの手で行うために団体を結成するのが始まりでした。ですから行政機能の市民への分担ともいえ、そういう働きをしています。今、アメリカの事業の形態もリーガルリスクの考え方が発展して社会規範としての企業、社会貢献や環境に貢献する企業、これらをもっと発展させると株式会社という形態よりもNPOの形態の方が事業の遂行上、市民参加を促しやすいのではという議論もあります。単なる営利性の追求という企業形態が少し合わなくなってきているという意識です。
 日本では、失業者の相談に乗ってミスマッチを埋めて、一番適切な職場への就職を斡旋する団体や、市民の法律の相談に乗り出す弁護士グループなど、職業紹介や法律相談といった行政機関や会社でも行える分野をNPOとして乗り出している事例が多数見受けられるようになりました。

事業の一形態としてのNPO
 この傾向は事業の形態として従来の会社ではやりにくいという理由で設立するケースが多いようです。
 本来は事業ですが、市民活動や従来にない公的活動的な要素が強いケース、逆にそういうイメージを持たせたいケースと二通りあります。学校やサポート関係などの事業は、この両極面があります。NPOも法人である以上、事業の面も意識してもらわねばなりません。採算の合わない運営では、NPOといえども生き延びれません。
 また、介護事業を始めたいグループが訪問介護事業の指定を受けるためにNPOを設立するケースもあります。介護保険法で訪問介護事業の指定業者となるためには法人であることを要件としているだめです。50才くらいのご婦人のグループがNPO法人を設立して指定を受けて活動している例があります。これなども公共性と事業性の両方も兼ね備えていると言えます。

設立は難しいか
 NPOの設立方法について簡単に説明します。都道府県を2カ所またいで事務所を作るとき(本部と支部)は内閣府(主務担当は内閣総理大臣)、ひとつの都道府県内にのみ事務所を作るときはそこの知事が所管します。 まず定款、事業計画、予算、役員人事などを決めます。定款では目的と事業をどう決めるかがやかましく言われます。あくまで12の特定非営利活動に関する事業であること、また不特定多数のために活動することを確認されます。ですから特定の団体や業界のためにというのは認められません。書類の作成は、本をみながら作成できる内容ですが、重箱の角をつつくように指摘しますからかなりめんどくさく、単純なミスの連続で半年近くも受理してもらえなかったという例も聞きますから、よくわからないときは我々行政書士に任した方がはるかいに早いこと請け合いです。 現在は、内閣府や都庁などNPOの申請の受付は予約制ですが、おおよそ2週間待ちくらいで、当事務所の場合、1,2回程度ですぐに受理してもらっています。
 受理されますと法律に従い3ヶ月の縦覧期間をおきます。一般に対してこういう内容のNPO設立申請がきたと示すわけです(これに対して、このようなNPOの申請はけしからんと言われたケースはあまり聞きません)。法律では受理後4ヶ月以内に認証せよということになってますが、現在はどちらもほぼ3ヶ月で認証に持ち込んでいます。
 ちなみ東京都の場合、2000年の第一四半期ごろは設立申請の予約が殺到し1ヶ月から2ヶ月待ちの状態でした。第四四半期ごろは、落ち着いてきて2週間から3週間待ちという状況です。

経理が大変
 NPOは会社ではありませんから、普通の会社の会計処理というわけにはいきません。日常の仕訳は、同じですが、会計は公益法人に準じていますので、締め上げは公益法人と同じ処理をしなければなれません。現在、公益用の会計ソフトがあまりなく、あっても高いというのが現状です。大半のNPOが今年始めての決算をするところも多いでしょうから、決算は専門家に頼まれた方が無難のようです。
 また、NPOへの優遇税制の問題で国税局がうるさくなってきました。NPOでも収益事業が営利企業と同じくらいでほとんどそれが主体というケースがありますが、調査に入ってかなり厳しいクレームをつけられた大阪の事例があります。個人の寄付について優遇の道ができましたが、その条件はNPOの収益の8割近くが寄付であることや事業内容の公益性があることを条件にその判断を税務署がすることになっています。収益の大半を寄付で賄っているNPOはまだ少ないので、この制度を使うところきまだあまりないと思いますが、税務署の関与するところは今後大きくなると思われますので、NPO経営あり方は十分に注意が必要です。特に本来事業か収益事業かはもめるところと思いますので、イベント等で会費をとったり物品を販売するケースなどはスキームをよく検討しておく必要があるでしょう。経理戦略の専門家への日頃からの相談は必要かもとれません。
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